見方を変える、一着。
SNSの普及によって、私たちが日々目にするモノや情報は飛躍的に増えました。
ファッションにおいても、国内外のブランドからファストファッション、そして古着まで、かつてないほど多くの選択肢に触れることができる時代になっています。
なかでも近年、古着への関心は大きく高まりました。
SNSやオンラインストアを開けば、世界中から集められた膨大な数の古着を目にすることができます。
ここ浜松でも、この数年で新しい古着店が増え始めています。そんな中、MÍCATAも今年5月、この街に実店舗をオープンしました。
こうした古着への関心の高まりは、私たちにとってひとつの追い風なのかもしれません。
その一方で、これだけ多くのモノや情報、そして選択肢に溢れる時代に、MÍCATAとして何を選び、そこにどのような価値を見出し、お客様へ提案していくのか。
日々考えながら、一点一点の買い付けを行っています。
「MÍCATA」という名前には、三つの意味を込めています。
見方 — 古着を通じて、新しい視点や価値観をひらくこと。
味方 — 暮らしに寄り添い、日常をさりげなく彩る存在であること。
三方 — この場所に根ざし、三方原の空気とともにあること。
今回ご紹介する一着は、その中でも特に「見方」という言葉について、あらためて考えさせてくれるものでした。
誰もが知るLeeというブランドから、1970年代に生まれたデニムのテーラードジャケットです。
Leeと聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、デニムジャケットやジーンズ、あるいはワークウェアとしての服かもしれません。
しかし、その長い歴史の中には、現在広く知られているLeeとは少し異なる表情を持った服が存在します。
1970年代に展開された「Lee Set」。
Leeが得意としてきたコットンのデニムを使いながら、ジャケットやベスト、パンツを同素材で揃えた「デニムスーツ」など、それまでのワークウェアとは異なるスタイルを提案したシリーズです。
当時の広告には、テーラードの要素を取り入れたジャケットにベスト、フレアシルエットのパンツを合わせた姿も残されています。

ワークウェアとして発展してきたデニムが、日常着、そしてファッションへと大きくその領域を広げていった1970年代。
Lee Setは、Leeが培ってきたデニムという素材を使いながら、その可能性を別の角度から捉え直したシリーズだったともいえます。
今回MÍCATAが買い付けた一着も、そんなLee Setを象徴するようなデニムのテーラードジャケットです。

大きく取られたノッチドラペルに2つボタン、フロントにはパッチポケット。背面にはアジャスターベルトが配され、一般的なLeeのデニムジャケットとはまったく異なる佇まいをしています。
一方で、素材はLeeを象徴するコットンデニム。
内側のラベルには「SANFORSET / Controlled Shrinkage」の文字が残り、当時のLee Setがデザインだけでなく、コットン素材の扱いやすさや着心地にも目を向けていたことを伝えています。

ワークウェアを背景に持つLeeが、自らの象徴ともいえるデニムを使って、テーラードジャケットをつくる。
一見すると少し意外な組み合わせですが、1970年代という時代背景を知ると、この一着がまた違って見えてきます。
Lee Setを知ることで、それまで抱いていた「Lee」というブランドのイメージが、少し広がったように感じます。
よく知られたものの中にも、まだ知らない背景や表情がある。
見る角度を少し変えることで、これまでとは違った価値に気づくことができる。
それは、MÍCATAという名前に込めた「見方」という考え方にも通じるものです。
このLee Setのジャケットも、そんなMÍCATAの「見方」を通して選んだ一着です。
MÍCATA