ヴィンテージウェアは、どう見分けるのか。
古着の世界では、「ヴィンテージ」の定義は意外と曖昧です。
何年経てばヴィンテージなのか、明確な基準があるわけではありません。
MÍCATAでは、一つの目安として30年以上前に作られた服をヴィンテージウェアと考えています。
2026年の現在で言えば、1996年以前に作られた服です。
40代の方にとっては学生時代や社会人になった頃の服なので、それほど昔の話には感じないかもしれません。
一方で20代の方にとっては、生まれる前後の時代になります。
同じ1990年代でも、世代によって時間の距離の感じ方は大きく異なります。
私たちが30年という時間を一つの目安にしているのは、単に年月だけが理由ではありません。
1990年代までは、多くのブランドがアメリカやイギリス、フランス、イタリア、日本など、自国で生産することがまだ珍しくありませんでした。
2000年代に入ると、グローバル化の進展とともに生産拠点は世界各地へ広がり、ものづくりの背景も大きく変化していきます。
もちろん、それ自体に良し悪しがあるわけではありません。
ただ、ものづくりの背景が大きく変わった一つの時代の境目として、1990年代以前の服には、現在とは異なる空気が残っています。
だからこそ、私たちはその時代の服を積極的に買い付けています。
では、日々の買い付けでは、どのように年代を見分けているのでしょうか。
服の年代を知る手掛かりは、思っている以上にたくさんあります。
Levi'sであれば品質表示タグに記載された工場コードや製造年月、生産国。
ミリタリーウェアであれば、内側のスタンプやコントラクトナンバー。
こうした情報から比較的正確に年代を知ることができます。
しかし、それ以外のブランドになると、年代を判断できる情報は限られてきます。
そこで私たちが注目するのが、タグやボタン、ファスナーといった服のディテールです。
中でも、ファスナーは重要な手掛かりの一つです。
現在のファスナーの原型が誕生したのは20世紀初頭。
1910年代に現在の構造へと改良され、1930年代には子ども服やワークウェアへ採用されるようになりました。
第二次世界大戦中にはフライトジャケットやミリタリーウェアにも広く使われ、その後はジーンズやブルゾンなど、日常着へと普及していきます。
現在では、YKKは日本国内だけでなく、世界でもトップシェアを誇るファスナーメーカーとなりました。
そのため、現代の服の多くにはYKK製のファスナーが使用されています。
しかし30年以上前の服まで遡ると、アメリカのSCOVILL、PRENTICE、SERVAL、TALON、フランスのÉCLAIRやAilée、ドイツのOPTI、スイスのririなど、現在ではあまり目にすることの少なくなったファスナーメーカーの製品が使われていることがあります。
メーカーごとにデザインや刻印、素材に特徴があり、それらは年代や生産背景を知る手掛かりにもなります。
もちろん、ファスナーだけで年代を断定することはできません。
タグや縫製、生地、シルエットなど、さまざまな要素を総合的に見ながら判断していきます。
それでも、小さなファスナーには、その服が歩んできた時代を読み解くヒントが詰まっています。
私たちは、そんな細かな部分にも目を向けながら、一着ずつ買い付けを行っています。
今回ご紹介するのは、これまでMÍCATAで買い付け、販売してきたヴィンテージウェアに使われていたファスナーの一例です。



普段は服を開け閉めするための部品として何気なく触れているファスナーですが、そのデザインや素材、刻印に目を向けると、それぞれの時代やものづくりの背景が少しずつ見えてきます。
服を選ぶとき、もし少しだけ余裕があれば、タグだけではなくファスナーにも目を向けてみてください。
きっと、これまでとは少し違ったヴィンテージの見方ができるはずです。
小さな部品にも目を向けることが、その服が歩んできた時間を知るきっかけになるかもしれません。
MÍCATA